デザイナーが一度は受けたことがあるであろうロゴの作成ですが、近頃ニュースなどで「パクリ」や「盗作だ」という声を聞きますよね。
中には「ロゴの制作案件を取ってみたいけど、盗作だとか言われるのが怖いな。」と一歩を踏み出せない方も多くいます。
また、「一からロゴを考え、形にする方法が分からない。」ということも少なくありません。
そこで、今回はロゴ作成においての手順とそのコツ、注意点をまとめてご紹介します。
目次
ロゴ作成の時に気をつける5つのこと
ロゴは、そのロゴを見た人が一目で「あ、あの商品だ!」とか「これはあの企業ロゴだな。」と分かる『目印』のようなものです。
そのためにはそのロゴは世界に1つしかないロゴでなければいけません。
そのようなロゴを作るために気を付けておかなければいけない注意点を6つ紹介します。
著作権侵害について理解しておく
『著作権侵害』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。簡単に説明すると、著作物(人が作成したもの。作品)を著作物を保有していない者が使用することを言います。
著作権侵害は法律で取り締まっている、立派な犯罪です。
しかし、この著作権侵害が成立するにはいくつか条件があり、中でも下で説明する2つのことに注意をすれば犯罪になることはありません。
- 依拠
- 類似性
依拠
依拠とは「オリジナルの作品を元にその作品が作成されているかどうか。」を意味します。
訴えた側がオリジナルの作品を持っていることが条件になるということです。
類似性
クリエイターであれば、こちらの方が注意が必要ですね。類似性とは、その名の通り、「似ているか」です。
似ているかどうかという基準は法律で定められてはいませんが、裁判の判例(過去の裁判結果)をもとに基準を設けるとすると、『本質的に違っていれば類似性は認められない」というものです。
また、人の作品に意図的に似せようと考えなければ、著作権侵害で訴えられ、有罪になることはないでしょう。
様々な使用用途を考慮して作る
何かモノを作る上で必ず考えなければいけないのが、その『使用用途』です。
例えば、企業ロゴを作成する場合には名刺や公式ホームページ、看板などに利用されることを想定して作らなくてはいけません。
どんなに凝ったロゴであっても看板のような遠目から見るデザインでは見分けがつかないこともあります。
色に頼らず、シルエットで分かるロゴにする
デザイナーの中では色彩について学んだことがある方が多いと思いますが、ロゴについて言えば、あまり色にこだわることは良いことですが、色に捉われ過ぎない様に注意しましょう。
先ほどの例に挙げた看板も同じですが、遠目からそれを見て「あ、あの会社だ!」と分かるようにするにはシンプルなロゴが良いとされています。
また、そのロゴがどのように使われるかはわかりません。白黒の資料の中に企業ロゴを入れられても分かるようなものにしましょう。
流行に流されない
ロゴの世界にも流行というものがあります。
デザインは文字のみで、フォントもありがちなものが流行ったりもしました。しかし、流行は流行です。
その流行がある時代は同じようなロゴデザインのもので溢れかえり、また時代が過ぎれば「何かダサい…。」などと言われてしまいます。
ロゴを作成する際には自信の独創性をフルに生かしたデザインを採用すると良いでしょう。
クライアントからヒアリングしたイメージを説明できるようにする
例えば、企業ロゴデザインの場合、クライアント側からの要望は企業理念やビジョンなど、とても重要なイメージに則って作られています。
そのため、クライアントへのヒアリング(依頼・要望の深堀。聞くこと。)が重要になるのです。
また、このヒアリングを怠けてしまうとせっかく作ったデザインもクライアント側の要望に応えきれずに作り直しになる場合もあります。
ロゴ作成の手順
ロゴ作成の流れは、基本的なクリエイティブ制作と変わりません。
以下の順で作成を進めていきます。
- クライアントにヒアリングを行う
- イメージを固める
- ラフスケッチを描く
- ラフスケッチをアウトライン化(図形化)をする
- 配色
クライアントにヒアリングし、イメージを固める
先ほども言いましたが、クライアントのロゴに対する思いが分からなければ何も次には進めません。
ロゴを作る張本人であるあなたがしっかり腑に落ちるまでヒアリングを行いましょう。クライアントのことをネットなどで調べてみることも有効かもしれません。
細かい配色や配置などよりもそのロゴに対する思いを感じ取れるようになりましょう。
ラフスケッチを描く
とにかく、ヒアリングで聞き出した内容から思いつける限りのラフを描きます。
クライアント側も多くのラフスケッチを出してもらった方が安心しますし、あなたにリクエストを出しやすくなります。
より多くのラフスケッチを提示することによって、2つのラフスケッチから「これとこれを組み合わせた感じ!」などという具体的なリクエストを貰うこともあります。
ラフスケッチをアウトライン化(図形化)をする
ロゴのデザインは看板や名刺など様々な用途でサイズの大小を変えて使います。
その場合、文字として認識されるものだと画質が荒くなることが多々あるので、アウトライン化する必要があります。
アウトライン化する方法はこちらの記事で詳しく丁寧に書かれていますので、見てみてください。
https://creive.me/archives/9960/
Creive、イラストレーターでアウトライン化する方法、2018/04/22更新
配色
ここまで来たらあとはクライアントと相談してから配色の作業です。
ロゴは様々な用途で使われる。と言いましたが、その際に様々な配色に変えたりします。
なので、始めからいくつかパターンを作成しておきましょう。少なくても3つのパターンを用意しておくとクライアントからとても親切なデザイナーだと思ってもらえます。
- カラー
- モノクロ
- 黒背景色
また、その他に色を用意した方が良いか確認を取り、そのパターンも作っておきましょう。
ロゴデザインの3つの参考例
ロゴデザインにおいて正解はありません。
しかし、誰が見ても「あ、このロゴは〇〇だ!」と思えるようなロゴを確認し、「何故、そのような印象を獲得できたか」を考えてみましょう。
MacDonald(マクドナルド)
MacDonaldのロゴはあなたもご存知の通り、黄色で「M」のロゴです。
とてもシンプルですが、このロゴを見れば誰でも「あ、MacDonaldだ!」と認識することが出来るでしょう。
色も赤色の背景に黄色の文字で書かれているので黄色が浮き出たように見せることができ、目に留まりやすくなります。
Apple(アップル)
Appleのロゴマークはかじった跡のあるリンゴのシルエットです。
Apple製品には必ず刻印されています。Apple社の製品の購入者がその製品を使用するとそれだけで、広告にもなります。
リンゴという多くの人に馴染み深い果物を使っていることで消費者にも携帯するもののデザインとして使いやすいのです。
Twitter(ツイッター)
Twitterと言えば青い鳥のロゴですよね。この青い鳥は「自由」「希望」「無限」という意味が含まれています。
さらに下の動画から分かる通り、この青い鳥のロゴはあの「モナ・リザ」などに用いられている「黄金比」が用いられています。
黄金比とは、近似値1:1.618、約5:8の安定的で美しい比率とされる貴金属比の一つで、古代ギリシア以来「神の比」とも呼ばれ、貴金属比の中でも最もポピュラーな存在です。
この比率のデザインは自然と人が見入ってしまうのです。
まとめ
ロゴというものはその商品やコンテンツ、企業の顔です。つまり、そのロゴの印象によって認知度が大きく左右するのです。
これからロゴの制作の案件を取ろうとするのであれば、まず自身の名刺用のロゴなど、身内のロゴから制作すると、クライアントの要望にも応えやすいでしょう。
初めは色々分からないことなど多いと思いますが、一つ一つ上達していきましょう。