イラストレーターやデザイナーの命とも言えるのが『色』です。
魅力的なイラストもクールなデザインも、まずその第一印象を決めるの色です。
そんなイラストやデザインの根本とも言える色について、あなたはどれくらい知っていますか?
感覚でやってきて、自分の好きな色ばかり使っているようでは多くの人の目を引くことはできません。今一度、初心に戻って基本的な色の知識をしっかりインプットして、自分のイラストやデザインに活かしていきましょう。
目次
センスで色を選ぶのは愚の骨頂
自分の独りよがりなセンスで色を選ぶのは危険です。
人は普段なにげなく色を見ていますが、人の目に見える色は約1000万色あると言われています。それだけ色にあふれた世界で自分のセンスだけ選んでいては、他の人の目を引くかどうかは運次第です。
印象的な色や人の目を引く配色などには法則があり、明確な理由があります。
そういった色の規則や法則を知らずに色選びするのは、宝くじを買うのに等しい行為です。ターゲットの人が集まるような、感動するようなデザインを作るためには、色の基本的な法則を理解する必要があるのです。
そもそも色の仕組みを知っている?
色とは光の持っている波長を人間の目が感知することで認識されます。
そして、その光の波長の長さによって、赤や青といった個別の色を人は理解するのです。
海が青く見えたり、リンゴが赤く見えるのもすべては光の拡散、吸収や反射したことによって、人の目に光が届いているからです。
また光は透過することもあり、光が大気や水、フィルムなどの透明なものを通過するときに通過する物質によって特定の波長が吸収され、残った波長が通過して目に届くことになります。
その結果、色が薄くなったり、本物とは違った色合いに見えるのです。
意外と知らない色の三属性とは?
色には三属性と呼ばれるものがあります。
白、黒、灰色以外の色は、どのような色も色相、彩度、明度の要素を含んでいる。
これを色の三属性という。
すべてのデザインの基本はこの『色相』『彩度』『明度』から始まります。
『色相』とは
赤、青、緑といった目に見える色みの違いを色相といいます。
色を構成する要素の1つで、短い波長の紫から長い波長の赤まで連続的に変化しています。
『彩度』とは
彩度とは、ある色相の鮮やかさを指し示す度合いです。
ある色相に他の色相が全く含まれていない場合に彩度は1番高くなります。彩度は混ざりけがなくはっきりした色、最もその色らしい状態を指して使われることが多く、同じ色相で同じ明度であれば、彩度が高いものがより鮮明に見えます。
ちなみに、白や黒やグレーといった色は色相を持たない色は彩度が0ということになります。
『明度』とは
明度は色を明るく感じるかどうかの尺度のことで、1つの色相の明度を上げ続けて100%になると白く見えて、逆に明度を0%にすると黒く見えます。
また、同じ色同士でも異なる色同士でも、比較すると片方が明るく見えるが、もう片方は暗く見えることがあります。
どのような色であるかをいう色相とは異なる要素で、明度そのものは数値化することもできるが、明るさの異なる色を組み合わせると、より明るく感じたり暗く感じたりすることもあるのです。
色の話で出ないことがない『トーン』について
色の三属性として色相、明度、彩度があり、これによって1つの色を特定することができますが、この属性のうち明度と彩度の組み合わせを1つのグループに表したものをトーンと言います。
このトーンはある色相の中で明るいか暗いか、鮮やかかそうでないかという組み合わせで構成され、いくつかの段階に分かれています。
また、どの色相であるかという要素が違っても、明度や彩度が同じであれば、そのトーンが感じさせるイメージは一定のものと考えれています。
例えば、写真でも言えることで、1つの写真の明度を高くした場合や、彩度を低くした場合では見た目の印象が異なります。明度や彩度が高ければ爽快さや活発な印象を与えますが、明度や彩度が低くなるにつれて、どんな写真でも落ち着きや静寂や重厚さといった印象を与えます。
基礎中の基礎!有彩色、無彩色とは何か?
色は色相、明度、彩度の要素で構成されていますが、これらのうち彩度を持つものと持たないものに分けることができます。
このとき彩度を持つ色は有彩色と言い、彩度を持たない白やグレーや黒のような明度の違いしかないものを無彩色と言います。
明度の高低に関わらず、彩度がわずかでも含まれれば有彩色となります。
有彩色は明度を極限まで高くすると彩度を失って最終的には白となり、明度を極限まで低くすると同じく彩度を失い黒となります。
色の違いで距離が変わる進出色、後退色について
色がもたらす影響は感情やイメージを喚起させる以外にも、色相や明度の違いからより前面に見えたり、後退して見えたりすることがあります。
暖色系(赤、オレンジ、黄など)は進出色もしくは膨張色と言われ、他の色相よりも手前にあるように感じれられます。
それとは反対に、寒色系(緑、青など)は後退色もしくは収縮色と言われ、奥にあるように感じられる色です。
色による心理作用
色によって人が受ける印象やイメージは大きくことなります。
これらの色を利用すれば、相手に与えたい影響を与えることができるようになります。
代表的なものは暖かいのある色と感じさせる暖色系や涼しさをイメージさえる寒色系などがあります。
色相以外にもトーンによって軽さや若々しさ、重厚さや静寂さといった印象を与えることができます。
詳しくは『【※悪用厳禁】色が与える心理効果であなたのイラストに目が釘付け!』で確認してください。
まとめ
デザイナーでもイラストレーターでも、こういった基本的な知識をおざなりにする人が見受けられます。
しかし、万人を感動させるようなセンスとは、こういった基本の積み重ねがあってこそ磨かれるものです。忘れてしまいがちな基礎もたまにしっかりと見直して、センスをより磨いていきましょう!
色の基礎を理解したら、次はその色の効果的な使い方が重要になってきます。
色について知っても配色に応用できなければ、人を惹きつけるデザインは作れません。
配色についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
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